〜東方童子異変〜

一章ノ陸《妖怪賢者(笑)》

 
「霊夢! 無事――ッ!?」
「あー……紫だぁ。一緒にお酒飲――」

 スキマから身を乗り出し、紫は目の前の煤けた小鬼を揺さぶった。

「萃香! 霊夢は? 霊夢はどこ!?」
「う、ぅぅ……ぎ、ぎもちわるい……」
「吐きなさい!! 霊夢はど――¢£ζλξδψДб!?」
「ヴぇ【音声が非常に乱れているので文章化出来ません】えぇ……」
「イヤぁぁあぁぁぁ!? スキマに吐くのは止めてぇ!!」
「萃香、そのままスキマに吐くのよ。畳を汚したら追い出すからね」
「れ、霊夢!? 止めなさい!! この酔っぱらいを――」

 ふと、紫は言葉を止めた。
 いったい今、自分は誰と会話したのだ?

「……え? 霊夢? どうして?」
「何を言ってるのよ、あんた。ついにボケでも始まったの?」

 何時ものまな板、紅白を見、紫は理解した。
 あの時の『一つ嘘ついてた』とは『見に来ただけ』にかかっていた訳ではなく。当然のように『見ての通りの人間さね』にかかってのだ。
 つまり二人が襲われていた事など微塵もなく。
 ただ、私はそう勘違いするように誘導されていただけで――

「だ……」
「だ?」
「騙されたぁぁぁぁぁぁぁああ!?」
「ヴぉ【音声が非常に(ry】えぇぇ……」


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