ボクはどうしたいのだろう?
目の前でツェツェが泣いている。
ボクはツェツェの辛い顔は見たくない。
だったら結論は決まっている。
「ボクは人間に抗うよ」
「えっ?」
ボクはツェツェの手を優しく振りほどいてベットから降りた。
「ちょ、ちょっと!」
「ごめん。でもボクはこのまま何もしないなんてできない」
「……」
ツェツェは俯いたまま何も言わなかった。
「……ごめん」
ボクはツェツェに背を向けて部屋から出ようとした。
ふいに、背後から暖かな温もりが伝わってきた。
「だったら、……私も行く」
「えっ?」
今度はボクが驚く番だった。ボクに回された腕に力が入る。
「私も行く」
今度はきっぱりと、言い切った。
昔からツェツェは、こうと決めたら一歩も譲らない。それに、一緒に連れて行かないことにはボクを離してくれそうもなかった。
「……分かったよ。だけど、危なくなったらすぐに隠れるんだよ」
「うん!」
ツェツェは泣きながら、でも嬉しそうな顔をしていた。
ボクは再び心に固く誓った。何としてでも醜い人間たちの世界からツェツェを守らなければ、と。
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