〜東方童子異変〜

序章ノ壱《目覚め》

 
 隙間穴から見える眩しい青空に、ちょっとばかしの濡れ草の匂い。荒々しくも心地よいそよ風、ざわざわと耳に語りかける木々の葉、そそぐ緑光の撫でるような暖かさ。
 実に数百年振り、久しく懐かしく……そして喜ばしい。
 さて、起きたはいいけど、この状況をどうしようか。
 手足に積る土砂の山。何かに埋もれるなんて経験、それこそどれだけ振りか。
 しっかし、どうやら私の役割で起きたわけじゃなさそうだ。普通なら寝なおすべきだろうけど……私が起きる程度には寝床が崩壊している。こりゃ、寝れそうにない。

「何より、もう飽きたしねぇ……」

 手で身体中の埃払う。ギシギシ鳴く身体をぐっと伸ばす。
 やっぱり寝なおすべきだ。寝た方がいいだろう……寝なおさなければならない。
 けど、この思いは――あぁ、この感情は――

「たっはー、まいった! 本当にまいったねぇ〜」

 まぁ取りあえず、外に出てみようか。
 私のとても大切で大好きな、あの彼らの姿を見たいから。
 

モドル 蒼夜のページへ ツヅキ

inserted by FC2 system