幻想の夢
―第一話 第六章 D―
著者:蒼夜


 貴方はここまでを読み終え、この物語の結末を思い浮かべた。だが、それは想像でしかない事を貴方は知っている。そして貴方が何を考えようと、何を望もうと、彼らの結末は変わらない。これは彼らの物語であり、貴方はこの物語の登場人物ではないからだ。

 しかし、私はこの結末を直ぐには紡がない。この物語の結末は、まだ先の話……

 或いは、この物語を今まで読み進めた「彼」ならば、この物語の結末を変えることが出来るかもしれない。「彼」とは、この物語の登場人物であり、私の期待する人間の一人。

 そう、審判を下す者は総てを知らなければならない。審判を下す者は総てを受け入れなければならない。審判を下す者は総ての結末に忠実でなければならない。

 だがしかし、「彼」はまだ未熟である。  私は、私自身の中に、この物語の結末をそっと仕舞い込んだ。


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