ツェツェの冷酷な声と、僕の懇願の叫びが広い空間に反響した。
ここにあるすべてが僕を責めているかのように感じられた。
僕が犯した罪は決して許されるとは思っていない。その原因となったものは、魔法という力のせいでもあった。
しかし、僕は未だにその力に縋り、仮初の幻想を見ていたのだ。魔法を殺し、この世界から消し去ってしまえば僕も救われる。そう思っていた。
だが、僕は紛れも無く罪人なのだと突き付けられた。魔法を殺して何になるというのか。
「ぅ……うぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
姉さんの優しく微笑んだ表情、ぎゅっと抱きしめてくれた温もり。色々なことが脳裏を駆け抜けた。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
姉さんが倒れている。赤い、赤いものが姉さんの周りに広がってゆく。血だ。助けなきゃ……姉さんを助けなきゃ。けれど僕の体はびくとも動かない。赤い血はもう広がっていなかった。代わりにさらさらと灰が舞い上がった。既に手遅れだった。まるでそこに最初から灰が積もっていたかのように、姉さんは灰となって消えた。
「ぁぁっ……っ……ぅ」
『おい! フラン! しっかりしろ!』
オルムの声が聞こえた気がした。僕の意識は深い闇へと落ちていった。背中に姉さんの温もりを感じながら……
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