(凄い、力がまだまだ沸き上がってくる……っ!!)
振るう手の先で森を動かしながら、ティニスはそれを実感していた。リーネフと名乗る神父から借りた力だが、あたかも自分の力であったかの様に良く馴染む。この力があれば、未来永劫この森を守る事ができるだろう。
しかし、ティニスとフランの戦いはまだまだ決着していなかった。
頭上高くにあった太陽は、既に夕焼けを空に映す程に傾いている。
ずっとツタを操り続けていたティニスに対し、フランはあえて言うなら何もしていなかった。
ティニスの繰り出すツタを避けはするが、反撃も何もしない。それならばこの場から逃げればいいのに、逃げようともしない。
服は破れ、皮膚が裂け、カメラは奪われてもなお、決して逃げようとしない。
まるで……何かを待っているかの様に。
(昨日の様にカメラで魂を抜き取ろうとしているのかな?でも――)
手元のツタへ目線をチラリと動かす。ツタに絡まったカメラを見、ティニスは満足気に頷いた。
(カメラはボクの手元にある。だから、ボクは絶対に負けない……っ)
そうだ、とティニスは思った。
このカメラを使って、あいつの魂を抜き取ってやれば良いのだ。軍隊だってこのカメラを使って魂を抜いてやれば森を傷つける事もない!
完璧なアイディアだ!ティニスはカメラを引き寄せ、傷だらけのそれを手に取った。
「今だ!オルム!!」
「え!?」
フランの掛け声と共に、カメラから闇が渦巻き――
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